病院がなくても幸せに暮らせる

夕張市のドクターが説く、”医療崩壊”のススメ

夕張では、生き生きとしていない高齢者はひとりもいません。

市の財政破綻により市立病院が無くなり、街から救急病院が消えた夕張市。高齢化率45%のなか悲惨な現実が待ち受けるかと思われたが、結果はその真逆だった–。 死亡率、医療費、救急車の搬送回数、全てが下がったマジックの背景を、夕張市立診療所で院長を勤めた森田洋之氏が明かしました。

予防の意識が医療費を削減する

日本人の病気の大部分は、生活習慣病からおきているといいます。だったら、生活習慣を変えればいいじゃないですか。みんなわかってるけど、できない。日本人の死因の1位がガン。2位が心臓系。3位が肺炎。夕張市では1、2、3、全部下がっちゃった。すごいですよね。何がポイントか。多分、予防の意識です。市民が予防のほうに意識を変える。病院があるから安心、ではなくて、しっかり自分で出来る事はやるんだぞ、と。この予防の意識。

危機感は夕張市だけではない

救急車が減るとか、高齢者の医療費が減るとか、そういう地域って全国でもほとんどないと思います。でも夕張市は出来た。死亡率まで下がっちゃったんです。夕張市民は危機感があったからできた。日本国民も危機感を持ったほうがいい。今、国全体の借金は1200兆円って言われてます。一人当たりにすると、1人1000万負債を抱えてます。今生まれてきた赤ん坊は、生まれた瞬間に8300万円の借金を背負った状態で生まれてくるという計算をする先生もいます。

終末期医療の考え方も要点

日本人の死亡率は100%。日本人だけじゃないけど・・しっかりと終末期のイメージを持っているか、持っていないか。地域で話をしている、家族で話をしている、その事実があるだけでも結果は全然違うと思います。救急車っていうのは、この命を助けてくれ、っていう叫びのもとに呼ばれるものです。助けてくれって思ってない。最後まで自分の家で生活したいって思っているなら、呼ぶのは訪問看護師、在宅医。もちろん、発熱とか一時的なことで、「これは良くなるよっ」てことであれば家で点滴したりして治療します。でもそうでない時は、臨終を迎える。だから救急車が減る。しかも医療費も減っちゃった。高齢者一人当たりの医療費は全国的にはものすごい勢いで増えていても、夕張市は一時よりだいぶ下がった。

高齢者対策で世界のリーダーに

日本も夕張の真似すればいいんじゃないか。世界中から尊敬される高齢化対策が出来る。軍事力でもなく、政治力でもなく、経済力でもなく、高齢化対策で日本は世界のリーダーになれる。

病院がなくても幸せにくらせる
夕張市のドクターが説く、”医療崩壊”のススメより抜粋