気功紹介(1)

今、世間には「気功」という言葉は使わなくても、気功的な催しやグループは数多く存在します。ヨーガや太極拳、座禅や瞑想法等、一般に知られているものから新たな用語で普及されている様々なものを見聞きします。

一方で、「気功」という言葉を聞いただけで、「難しいんだろう」と答える人も結構います。これは20数年前に気功ブームがあったとき、マスコミが興味半分に特異能力を中心に報道を展開したことにも要因があると思っています。気功の潜在能力開発という側面を捉えれば、特異能力を発揮することも気功の一部分ではありますが、太古からの営みの中で記録に残っている数千年の歴史を辿れば、綿々と受け継がれてきた多くの気功法は「健康づくり」への取り組みです。

5000年の歴史があると言われている中国の伝統医療気功の中でも、気功という言葉が使われ始めたのは1953年に劉貴珍氏が「気功療法実践」という本を出版したときからとされています。日本でも気功という言葉が使われる以前から、気功的療養法は実践されており、中国に逆輸出されているものもあります。しかし、世界各地で類似なものはあるとしても、理論的・実践的資料は中医学をベースにしたものが他を凌駕しており、今も国家主導で研究が進められております。

劉貴珍氏によれば医療気功は必ず食事療法と結びつけねばならないことも伝えています。姿勢を調え、呼吸を調え、精神を調えると共に食事を調えるという4つの調整が不可欠だと。

日本での気功的実践例の中で整体分野の双璧に野口整体と橋本燥体法があります。橋本敬三氏は仙台で95歳まで医師として活躍し、平成5年に他界しました。運動系の研究を深めるとともに生体の自然法則との関係までその理論を発展させ、医界への警鐘を鳴らし続けた人です。人が健康に過ごすためには、食・息・動・想のバランスを保つアプローチが必要なことを説き、実践を重ねています。取り組みの手段は違っても、健康づくりを真剣に考え実践していく中でたどり着くところは同じと考えます。